読書の記録『喜島先生の静かな世界』

トップ > 読書 > 読書の記録『喜島先生の静かな世界』

読書の記録


喜島先生の静かな世界

森博嗣, , 2011-01-30, ***--

「でもね、論文を書くことは研究ではない。これは喜島語録の一つだ」
北極のオーロラも見たかったけれど、それよりも、その現象について書かれた専門書を熟読する方がずっとオーロラを体験できるだろう。僕は「体験」とはそういうことだと思っている。
本や資料に書かれていることは、誰かが考えたことで、それを知ることで、人間の知恵が及んだ限界点が見える、そこが、つまり研究のスタートラインだ。
数学の問題を解くことは極めて昆虫的だった。あれは考えているというよりは、おびき寄せられていただだけなのだ。
普通の人間は、言葉の内容なんかそっちのけで、言葉に表れる感情を読み取ろうとする。
いいか、覚えておくといい。学問には王道しかない。
頭を働かせている人、考えることが仕事の人は、一般にとても大人しく生きている。世間の波風を嫌うから、自然に穏やかになり、そして素直になっていく。