読書の記録『創るセンス 工作の思考』

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読書の記録


創るセンス 工作の思考

森博嗣, , 2010-03-15, ***--

「技術の凄さ」とは、説明することが難しい。凄さを感じるだけでも、ある程度の技量が要求されるものだ。
「上手くいかないことが問題」なのではなく、「上手くいかないことが普通」なのだ。「こうすれば上手くいく」と教えたこと、また、それを鵜呑みにしたことこそが問題の根源である。
「予期せぬ問題は必ず起こるものだ」という経験則は、実際にものを作ったことがある人ならば身に染みてわかっていることであり、それはもう「工作の第一法則」といっても良いほど普遍性を持っている。
「ボール紙を使って橋を作り、机と机の間に架けなさい。その中心に1kgのウェイトをぶら下げる。これに耐えうる構造でなければならない。それを実現した橋の中で、最軽量のものを優勝とする」というコンテストを企画した。
あらゆる「既成の楽しさ」に囲まれて育ってきたゆえに、「与えられた楽しさ」に手一杯で、自分の楽しさを、自分の新しさを、作ることができない。それがやりにくい環境が現代社会なのである。
どうして、好きである理由を言葉にしなければならないのか、今ひとつ不明ではあるけれど、実は、この不思議さは、恋愛であっても、仕事であっても、いろいろな場面で直面するものなのだ。みんな納得が欲しいから、悩み考える。そういうものが人間が書く文章の多くの部分を占めているのである。