読書の記録『フォグ・ハイダ』

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読書の記録


フォグ・ハイダ

森博嗣, , 2014-05-10, *****

この世には、本当かどうか確かめることができない疑問が多い。つまり、そういうものには、本当がない、といっても良いだろう。
悔いているのか、憎んでいるのか、悲しいのか、それとも嬉しいのか、涙ではわからない。まして、口から出る言葉は、もっと信用がおけない。人は、いつでも、どんな言葉でも、簡単に口から出せるのだ。 それはよくわかっている。 わかっているが、しかし、人は人を信じることができる。 そう。相手がどうなのか、という問題ではない。 己が信じるかどうかだ。
斬られれば、ここで終わり。自分にはなにもなかった、というだけのこと。 もし、生きていれば、また考えて、悩んで、なにかを摑めるかもしれない、と思い直すだろう。
この世にあるものは、いかなるものも、必ず無駄なものが混ざっております。なにも溶けていない水はない。なんの匂いもしない風もありません。