読書の記録『心はあなたのもとに』

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読書の記録


心はあなたのもとに

村上龍, , 2013-12-04, *****

有意義でも有効でもない、人生にとってまったく無駄で下らない時間だが、無駄で下らないものがすべて不要だとは限らない。
いやな予感というのは最悪の事態を想像するための信号なのだが、扱い方がむずかしい。
自由は常に不安を伴っている。危うさを併せ持つ自由だけが、人間の優しさを発生させるのだろう。
今度ね、眠れないときがあったら、今でも身体は休まっているんだって、思ってみて。横になっていると、やがて痛みとかね、軽くなることはよくあるし、だいいちそう思うとね、脳だって休まるんだから。
高級な食材を使って薄味にすれば高級感は出せる。正確な技術と経験と勇気を持って、ぎりぎりのところまで踏み込み、どれだけ濃い味付けに挑めるかで料理人のランクが決まる。
人生でもっとも大事なことは、殺されないこと、つまり、死なないことで、二番目が楽しむこと、そして三番目に世界を知ることだって、あるとき教わったんだよ。
逃げるのだけはやめようと思った。無力感から逃げずに、どんなに憂うつでもそれを受け入れて、自分をごまかすことだけはしないようにしようと決めた。
金銭で幸福や信頼は買えないが、経済的困窮は不幸に直結している。
目標が遠いときは、目標だけを考えるんじゃなくて、途上にあるっていうか、目標に向かって進む道から外れずに、道の上にいて、ちゃんと前に進んでるかなって、そう考えるほうがいいんだよ。
世の中には生まれながらの主人と従者がいるって、誰かが言ってました。(中略)大切なことを自分で決められる人と、他人の意見に左右されてしまう人がいるんだと思います。
大切に思う人との良好な関係の維持には実は大変な努力が必要だ。だから本能的に放棄しようとして、極端なことを考えるようになるのだそうだ。
父親の役目は、子供たちにね、自分の世界は自分でエクスパンドできるってことを教えることなのよ。