読書の記録『涼しい脳味噌』

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読書の記録


涼しい脳味噌

養老孟司, , 2010-04-05, ***--

まともな人が、長にはなりたがらないという傾向は、次第に進行するのではないか。やっぱり得にならないからである。しかし、得になるからやるというのでは、汚職が生じて当たり前である。こんな矛盾した状況で、人間がまともに育つわけがない。
人間という「自然」は、実際タチが悪い。ガンと同じでどこにでも広がり、地球を食い荒らす。それがガンで死ぬのは、自業自得みたいだが、それがまた「自然」かもしれないのである。
都会は予測の中を生きる。予測された過程を「生きる」、それは生というよりは、むしろ死に近い。
専門の良さは、分業の良さである。しかし、分業をすると、視野が狭くなる。 (中略) 土木業では、環境のことを考えない方が有利だし、歯医者にとっては、虫歯がなくならないことが望ましい。
教育でもっとも大切なことは、「ひょっとしたら、この世には、自分がまだまったく理解していない側面があるのではないか」、そういう感覚を身につけさせることである。