読書の記録『55歳からのハローライフ』

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読書の記録


55歳からのハローライフ

村上龍, , 2012-12-16, *****

人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。
その犬を殺してしまうのではないかという不安や恐れと、実際に殺すことは、まったく違います。人間は想像しますから、ときどき気持ちが弱くなったときなどに、想像に苦しめられることがあります。想像に苦しめられている人は、不安や恐れを、そのことで消費しているという考え方もあるんです。
日本の会社にありがちな、従属と庇護という関係性の中では、他人を、対等な別個の人格として受け入れる訓練ができていないことが多いんですね。誰でも自分の時間を持っているという、気づきですが、それは、人間にとって本質的で、一種の事件なので、人によっては、一時的にですが、精神が不安定になることがあるんです。
少しずつなんだよ。大切な誰かを、心から受け入れるというのは、大変な作業なんだって、まずわかる。そして、少しずつ、本当に少しずつだよ、何か、自分を守る膜のようなものができていくんだ。
きっと大勢の人が、いったい自分は何のために生きているのかという無力感に襲われることがあると思う。(中略)生きようという姿を示すだけで、他の誰かに何かを与えることができるのではないか。