読書の記録『日本のリアル』

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読書の記録


日本のリアル

養老孟司, , 2014-02-21, *****

言葉にはそういうふうに、「ないもの」を立てて存在させる機能もあるのですが、そこには怖さもあって、本来、存在しないものを、言葉を立てて、あるというふうにとらえてしまうと、まさかと思うようなところに「裏」が発生します。「環境」を立てた裏にできたのは、そこから切り離された「自己」です。
世間ではよく官僚がよくないと言いますが、そうではなくて、どんな組織でも官僚化する危険性をはらんでいるんです。やっぱり実際に仕事をするならば、「いつも途上」という気持ちをもたないと。
補助金に頼って農業をやって財産を築いた人は、日本中どこを探してもいません。補助金のもらい癖がつくと、補助金がつかない事業に手を出さなくなるからです。
外材輸入によって自分たちは追い詰められたと林業界は言い、弱者のふりをし続けてきたんです。
死の森ー間伐が遅れた森では、木と木の枝葉がぶつかり合ってしまうため、それぞれの木の光合成量が少なくなるうえ、地中の養分の奪い合いが起き、木は太ることができません。木の上部は枝葉で密閉され、林の中は暗くなり、下草も生えません。
学問とは本来は独学です。学校に行けば、学ぶ時間は短縮できますが、本当にものになるかどうかは本人次第です。