読書の記録『櫻の木の下には瓦礫が埋まっている。』

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読書の記録


櫻の木の下には瓦礫が埋まっている。

村上龍, , 2012-05-26, *****

結婚して子どもを作ろうというモチベーションを持ち実行できるのは、年収で言うと約500万円以上、全体の5パーセントほどの非常に恵まれた人たちだけということになる。
人を突き動かし、考えさせるのはシンパシーではない。怒りだ。
変化の必要性が叫ばれ続けている割りには、誰も変化を望んでいない。それが現在の閉塞感の源ではないかと思う。
宮崎さんは「男の子を主人公にはしづらい、なぜなら現代社会において男が判断し決定する重要事項が減っているから」というようなニュアンスのことを答えた。
山崎さんは「政治は監視の対象ではありますが、期待を持ち込む場所ではありません」と書いた。
もはや大衆は昔ほど無知ではない。大多数の人が大学教育を受け、政治家は知識や教養において決して特別な存在ではないし、それどころか、信じがたいようなバカもいる。
不安はネガティブでいやな感情だが、危機に対処するためには必要なものだ。
わたしは「絆」という言葉の流通と氾濫に違和感を覚える。それは、被災地、被災者を思う気持ちだけでは解決できない問題が山積みしていて、「絆」という美しい言葉が、そのことを隠蔽する危険性があるからだ。気持ちだけでは解決できない問題は数多くあるが、もっとも大きく、かつ象徴的なのは「瓦礫」だろう。