11月19日(晴れ)

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信号を受信できません。

一匹の蜘蛛が壁を登っている。時折、前足をたどたどしく震わせ、前方に何かあるのか手探りするような仕草を交えながら。慎重に一歩一歩進んでいるのに、何故か足を滑らせる瞬間がこれまでに何度もあったが、その度に自分の体から出す糸で何とか落下を止め、再び少し下の方から上を目指す。

しばらく目を離していた隙に、蜘蛛はどこかに行ってしまいました。天井まで登ったのか、或いは床まで落ちてしまったのか、分かりません。

今日は少し辛い出来事がありました。でも、それがどうして辛いことなのか、いくら言葉にしようとしても、どうしても上手くいきません。じゃあ実は大した事ないんじゃないの、というのも真であるような気がしますし、決して言葉では紡げない種類の感情もあるんだよ、というのもまた真であるような気がします。気晴らしに近くのネットカフェに出かけたのですが、チューナの電源がうまく入らず、目の前のディスプレイには「信号を受信できません」という文字がじっと浮かんでいました。それをぼーっと30分程眺めてから帰宅。もうすっかり動悸は治まり、何だかお腹も空いてきた感じです。7/17にも引用した村上龍の小説集の言葉を思い出しました。明日からまた元通り前に進めると思います。

だが関係性が生まれればどういう形にせよ傷は発生する。そしてその傷から自由になろうと決めて努力する場合に限り、傷は何らかの意味を持つのだ。
特権的情人美食

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